産後になりやすいこころの病気

産後になりやすいこころの病気

出産後、「楽しい子育てを夢見ていたのに、気分がブルーになって落ち込んでしまう。」「こんなはずではなかった。」ととまどっているお母さんが数多くいます。昔から、「産後の肥立ちが悪い」という言葉があるように、出産後数ヶ月の頃は気分が不安定になることが知られていました。
妊娠期は一般にこころの病気になることはまれで、もともとかかっている病気の悪化も少ないですが、出産後の産褥期は、妊娠期の約4倍こころの病気にかかりやすくなる時期です。産褥期になりやすいこころの病気には、次の3つがあります。

 

マタニティブルーズ

マタニティブルーズは、出産直後から数日間のうちになることが多いです。持続期間は短く、長くても数週間で自然によくなります。出産後の女性で5~50%の方が、何ら かの不安定さを体験していると言われています。決して病気ではなく、治療の必要もありません。対応としてはやさしく接すること、特に夫の支えが最も効果的です。ただし長 引く場合は、次に述べる産後うつ病のこともありますから、一応の注意が必要です。
症状としては、
  • 涙もろい
  • 抑うつ
  • 疲れ
  • 頭痛
  • 食欲がない
  • 気分がふさぐ
  • 集中しにくい
  • 不安になる
  • リラックスできない
  • 眠りが浅い
  • 物忘れしやすい
  • どうしていいのかわからない
などがあります。

 

産後うつ病

  • 頻度
    出産女性の10~20%に発症するといわれています。
  • 発病時期
    産後うつ病は、出産後1週間~2週間以降に発症し、罹病期間は数ヵ月また時に1年くらいまで及ぶことがあります。
  • 留意点
    マタニティブルーズと混同しないようにします。風邪などと同じように病気であって、決して怠け者として考えてはいけません。
  • 症状
    • 抑うつ気分
    • 気興味や喜びの著しい減退
    • 食欲の減退や増加またはこれに伴う体重の変化
    • 不眠
    • 睡眠過多
    • イライラして動き回るまたは動作緩慢
    • 疲れやすい
    • 家事や育児の気力減退
    • 何に対しても価値がないと感じる
    • 過剰な罪悪感
    • 思考力、集中力、決断力の減退など
  • 対応
    • 受容的に接する
    • 具体的、実質的なサポート
    • 重症例には精神科治療が必要

 

産後精神病

これは産後のこころの病気の中でも最も重篤なものです。その頻度はまれであって、1,000人に1人の割合といわれています。通常、出産後2週間以内に発症します。この状態は極めて重症ですので、精神科治療が必要です。
症状としては、
  • 極端な混乱
  • まとまりのなさ(支離滅裂)
  • 多弁になったり、躁状態
  • 拒食傾向
  • 疑い深い
  • 常識はずれの言動
  • イライラ感
  • その場にないものが聞こえたり、見えたりする
  • 常に動き回る
などがあります。

 

Q.どうして産後の心の病気がおきますか?発病しやすい人とは?

出産後、1か月前後は最もお母さんの育児不安が強い時期であり、マタニティブルーズや産後うつ病を発症しなくても「子育てに自信が持てない」「育児の方法がわからない」などの訴えが多くあります。
また、育児不安や育児困難な状況は、お母さん側や赤ちゃん側の要因によって増強されます。
お母さん側のハイリスク要因の主なものとして10代の妊娠、シングルマザー、望まない妊娠、高齢初産、不妊治療歴などの他、精神疾患の既往が含まれます。
赤ちゃん側のハイリスク要因の主なものは、未熟児、多胎児、障害児、慢性疾患、いわゆる育児に手がかかり育てにくさのある子どもがあります。
子ども自体に育てにくい問題等がある場合、お母さんはは育児困難に陥りやすく「こんな子どもを生んでしまった」と自責の念にかられることがあります。

 

産後うつ病の対応

  1. 傾聴する。
    相手に威圧感を与えず、優しい表情と笑顔で悩んでいるお母さんの話を聞くことが重要です。
     
  2. 育児負担を軽くする。
    お母さんを追いつめないように育児を楽にする方法を考えることが大切です。
     
  3. 家庭訪問
    保健所や市町村保健センターの保健師等の家庭訪問支援があります。心理的サポートと子育て支援を行います。
     
  4. 治療
    産後うつ病の重症例には抗うつ剤等の薬物療法が必要なので、その時には専門医の受診を具体的にサポートすることが必要です。
     
  5. 注意すること
    産後うつ病は適切な治療とサポートがないとお母さんの自殺や母子心中に及ぶこともあるので、対応は慎重に行います。
     
早期に、適切に対応すれば改善することが多いので、気がついた人や機関からサポートを発信することが大切です。
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