ダニ媒介感染症とは
ダニ媒介感染症の概要
マダニはライム病・回帰熱・日本紅斑熱・ダニ媒介脳炎・重症熱性血小板減少性症候群(SFTS)などの病気の原因となる病原体を保有していることがあり、咬まれることでこれらの病気に感染することがあります。北海道内で過去に患者が確認されている主な病気の概要は次の表のとおりです。
病名 | 潜伏期間 | 主な症状 | 治療薬 |
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ライム病 | 12~15日程度 | 発熱(微熱であることが多い)、倦怠感、慢性遊走性紅斑、稀に心筋炎・髄膜炎 | テトラサイクリン系の抗菌剤 |
回帰熱 | 7~10日程度 | 発熱(39度以上)、筋肉痛、関節痛、倦怠感等 | テトラサイクリン系の抗菌剤 |
ダニ媒介脳炎 | 7~14日程度 | 発熱、筋肉痛、麻痺、意識障害、けいれん、髄膜炎、脳炎等 | - |
・上表の3疾病は、感染症法上の四類感染症(人から人への感染はほとんどないが、動物、飲食物等の物件を介して感染するため、動物や物件の消毒、廃棄などの措置が必要となる感染症)に該当し、インフルエンザのように容易に人から人に感染して広がるものではなく、水や空気などを介して伝染することもありません。
・ダニ媒介脳炎は、ウイルスが混入した生乳を飲んで感染した例がヨーロッパで知られていますが、ウィルス72℃10秒で死滅するため、殺菌処理された市販の牛乳から感染することはありません。
予防について
・マダニに咬まれないようにすることが重要です。特にマダニの活動が盛んな春から秋にかけては、マダニに咬まれる危険性が高まります。
・草むらや藪・森林などマダニが多く生息する場所に入る場合には、長袖・長ズボン(シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる、または登山用スパッツを着用する。)
・足を完全に覆う靴(サンダル等は避ける)、帽子、手袋、首にタオルを巻くなど、肌の露出を少なくすることが大事です。
・服は、明るい色のもの(マダニを目視で確認しやすい)や化学繊維素材のもの(マダニがつきにくい)がお薦めです。(※野外活動用の防水透湿素材のカッパの上下など。)
・草むらや藪・森林などの場所で、長時間地面に直接寝転んだり、座ったり、服を置いたりするのは止めましょう。
・首にかけるタオルや脱いだ上着などは直接地面に置いたり木にかけたりせず、出来るだけバックの中などにしまうようにしましょう。
・deet(ディート)という成分を含む虫除け剤の中には服の上から用いるタイプがあり、補助的な効果があると言われていますが、マダニを完全に防ぐわけではありません。虫除け剤を過信せず、様々な防護手段と組み合わせて対策を取る必要があります。
・屋外活動後は、すぐに入浴し、体や頭をよく洗い、新しい服に着替えましょう。
・脱いだ衣服はすぐに洗濯するか、ナイロン袋に入れて口を縛っておきましょう。
・マダニに咬まれていないか確認してください。マダニは比較的やわらかい部位の皮膚に咬みつきます。特に、わきの下、足の付け根、手首、膝の裏、胸の下、頭部(髪の毛の中)などがポイントです。咬まれた直後は痛みやかゆみなどの自覚症状がなく、気づかないことも多いと言われます。
・犬や猫などの動物にダニが付くことがあります。除去には、目の細かいクシをかけると効果的です。ダニ駆除薬もありますので獣医師に相談してください。