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最終更新日:2018年3月13日(火)

★8 阿部鋼材株式会社

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平成29年度石狩市ものづくり企業見学・交流会(第3回)に参加した学生がまとめた企業紹介レポート第8弾

今回は、「阿部鋼材株式会社」をご紹介します★

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1  職人の曲げ加工から生まれる大きな製品

 この会社では、厚めの鉄鋼加工を中心に大型の道路資材や農業土木資材などの製造を得意としているほか、角丸や円錐など多種多様な曲げ加工によって作られた製品やトンネル支保工なども製作している。

 なんと、一般家庭にある灯油を入れる「ホームタンク」を最初に名付けた会社でもあるそうだ。しかし、ホームタンクという製品名を当時商標登録しなかったため、みすみす他の会社でも自由に名前を使われてしまっているということは、苦い思い出だそうだ。

 社長さんは、5S活動に力を入れているという。
 汚い工場を何とかしたい、何でも話し合える空気感が欲しい、冷ややかな視線をなくして良いコミュニケーションをとりたいという思いから始まったそうだ。
 5S活動は、従業員に改善したい点や意見を出してもらいその中からできることを一つずつ解決していく。今では年間850~1000件もの改善提案が出るという。

円錐の曲げ加工   トンネル支保工
円錐の曲げ加工とトンネル支保工(阿部鋼材株式会社ホームページより引用)


2  アングルベンダーによる曲げ加工、1/1模型

 トンネル支保工の製作を行っている工場では、H綱をどのように曲げ加工しているのかを見ることができる。

 支保工とは、トンネル掘削工事で土を掘り進んでいく途中に土の重みから崩落を防ぐために設置する構造物である。
 トンネル完成時にはコンクリートに埋まってしまい見ることができないが、北海道内各地のトンネルに使用されているという。

 支保工はH綱を曲げて作られる。この曲げ加工を可能にしているのがアングルベンダーという機械だ。3本のローラーでH綱を押し付けて圧力の加減により任意の大きさの形状に加工するのである。
 H綱だけではなくチャンネル・アングル・パイプ等の形綱の曲げ加工やさらには螺旋曲げのような複雑な曲げ加工も行うことが可能だという。左右の距離を変えることで曲がり具合を変えることが可能となる。

 工場内は、限られたスペースに道具が綺麗に収納されていたり足元はコードが引っかからないように上の方に吊すといった工夫が随所に見られ、5S活動が徹底されていた。

 工場の外には、トンネルの補強材や用水路の基礎、1/1模型などの製品が保管されていた。どの製品も大きく魅力を感じたが、特に気になったのは1/1模型である。

 1/1模型は、札幌市の狸小路に設置されている路面電車の停留所を再現したものである。一見コンクリートで作られているように見えるが実は鉄製で暑厚さ6mm板を50cmごとに溶接したボックス構造となっているそうだ。
 溶接する中で一番大変だったのは、滑らかな曲線を描く上の部分だという。
 難しい手法のため、社内でも特に腕の立つ4人の職人が手がけたという。
 さらに塗装、仕上げ加工も行っており、数々の苦労を乗り越えて作られたものであることが分かった。

アングルベンダー   1/1模型
アングルベンダーと1/1模型(学生撮影、阿部鋼材株式会社ホームページより引用)


  職人だからこそできるモノづくり

 次に見たのは、鋼板の曲げ加工、溶接、プレス機による折り曲げ加工が行われている工場である。

 鋼板の曲げ加工は、ベンディングローラーという3本のローラーの間に鋼板を通して圧力を加えながら回転させて円形に巻く機械によって行われる。ローラーの距離を変えることにより鋼板の曲がり具合を変えることができるそうだ。

 曲げ加工には、「点押し」という方法で鋼板を曲げている製品があった。均等に熱を点で加えることで鋼板が曲がるという。点押しによる曲げ加工は一番の売りだという。

 溶接では、厚みが薄くなるにつれ扱いが難しくなりひずみが多くなってしまう。職人でも溶接はひずみに苦労しているそうだ。

 折り曲げ加工では、昔の職人さんたちが自作したプレス機を見学することができた。
 先代を超えようとする職人さんたちの向上心によって作られたという。ほかにも自作された機械があり現在も使われているというから驚きだ。

 また、会社の敷地には複数の機械を扱う一人の職人のための小さな工場がある。
 そこには、設計図なしで製品を作ってしまう「神様」と呼ばれる66歳のベテランがいる。
 そのベテランは、自作した装置を使って小学生にモノづくりの面白さを教えているという。イベントがないときには工場で使う部品づくりを手伝ってくれる。作って欲しいと頼めば何でも作ってしまうほどの技術を持っており、工場に残って欲しいと社長さんや社員に頼まれて今でも会社に残ってモノづくりを続けているそうだ。

 事務所では、どのように設計が行われているのかを見ることができる。
 注文された完成図と用途を元にして工場で使うための図面を作る必要がある。
 設計者は、どの順で製作させるか、どう利益を生み出すかを意識して設計しているという。

ベンディングローラー   自作機械
ベンディングローラーと自作機械(阿部鋼材株式会社ホームページより引用)


4  数々の職人技、経営者としての姿勢

 交流会では職人技を身につけるための会社としての取り組みを聞くことができた。

 会社には、優秀な人材を育成するためにスキルアップのメニューがある。溶接やプレスの仕方、図面からどの情報を拾うかなど、数あるスキルアップのメニューの中から自分がやりたいと思うものを選ぶことができるようになっているという。そして、段階を踏んでスキルアップしていくのである。

 さらに検定や資格の取得も積極的に行われており、仕事と同時に勉強も行っているようだ。もちろん入社したばかりでも資格の取得は可能で、このような制度を活用してやる気と努力があれば自分の技術をどんどん磨くことができる。

 社長さんは、経営者としてスキルアップメニューの制度だけではなくきちんと社員の頑張りを評価するようにしているという。
 社員全員に頑張った人は誰なのか聞き、特に頑張っていると思われている人には通常より多くボーナスを出しているという。

 社長さんは、100のキャラがあるから100の仕事があると考えているという。それぞれの個性をきちんと評価することで、その人がどうスキルアップしていくのか、どのように身につけたのかを他の社員に見せることができモチベーションの向上につながるという。
 このように人材育成に力を入れることで、社員の意欲も増し様々な顧客のニーズに応えられるようになるのだろう。

 職人といえば66歳のベテランが代表的だ。彼は、「曲げのスペシャリスト」といわれる素晴らしい技術力を持っている。
 しかし、彼にもできないことがある。それは営業である。
 過去に営業職へ異動したことがあるそうだ。現場の設計で使う単位と営業で使う単位は実は違う。この単位の違いで鬱になりかけたという。
 現在は、彼が得意とする設計・製作を中心に行い営業は他の人が行っている。

 このように自分に合った仕事ができるのは、大きな魅力の一つである。
 これも社長さんが社員のことをよく見てきちんと評価しているからこそできることである。

石狩工場   ベテラン専用工場
石狩工場とベテラン専用工場(学生撮影、阿部鋼材株式会社ホームページより引用)


企業の概要など

  • 業務内容
      鋼板・形綱の曲げ加工、溶接組立加工、トンネル支保工製作 など
  • 代表者名
      代表取締役社長 阿部 大祐
  • 住所
      石狩市新港西3丁目747-7
  • 電話番号
      0133-73-0840
  • 企業ホームページ
      http://www.abekouzai.jp


このページに関するお問い合わせ
北海道石狩振興局産業振興部商工労働観光課主査(雇用対策)
〒060-8558 北海道札幌市中央区北3条西7丁目
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