最終更新日:2019年3月19日(火)
北海道には、エキノコックス症という、他の地方ではあまりみられない病気があり
ます。世界の中では主に北半球(寒い地方)で発生しており、感染率は他の病気に
比べると高くはありません。この病気は、エキノコックスという寄生虫によって引き起
こされる病気で、主に肝臓に障害が起こり、放っておくとだんだん悪化して、命にか
かわることもあります。
エキノコックスは、寄生虫の一種です。単包性と多包性の2種類があり、北海道の
ものは、多包性のエキノコックスです。また、成虫(親虫)と幼虫(子虫)がいますが、
成虫は主としてキツネに、幼虫は野ネズミに寄生します。成虫は卵をつくりますが、
その卵が何らかの機会に人の口に入ると、腸で卵から幼虫となり、主に肝臓に寄生
し、エキノコックス症という病気を引き起こしますが、正しい知識があれば感染を予
防することができます。
エキノコックスの卵が口に入ってしまった場合に感染することがあります。エキノ
コックスが寄生したキツネやそのフンに直接さわったり、フンに汚染された山菜や沢
水を口にすると感染の危険があります。人から人、ブタや野ネズミから人に直接感
染することはありません。
■エキノコックス症の感染経路
エキノコックスの成虫は、キツネの腸に寄生して卵をうみ、その卵(直径0.03ミ
リの球状で肉眼では見えません。)がフンといっしょに外にでてきます。
■この卵を木の実などといっしょにネズミが食べると、ネズミの体の中で卵がかえって
幼虫となり、肝臓に寄生します。
■幼虫が寄生しているネズミをキツネが食べると、キツネの腸の中で幼虫から成虫
になります。
このように、エキノコックスは、通常、キツネとネズミの“食べる”“食べられる”という
関係で生活していますが、さきのとおりキツネやそのフンに直接さわって、卵が口から
体の中にはいると人に感染します。(幼虫では感染しません。)
エキノコックスが主に肝臓に寄生して起こる病気です。人の体の中では、幼虫のま
ま肝臓の中で少しずつ大きくなっていきます。エキノコックスが寄生しても、すぐには
自覚症状はなく数年から十数年の潜伏期があり、肝機能障害の伴う疲れやすさ、上
腹部・肝臓のあたりの不快感、黄疸などの症状が現れますが、普通の生活には特に
支障がないため、自覚症状が出る頃には病気が悪化している可能性がありますので
、健康診断で早めに発見することが大切です。
北海道内では、1次検診は市町村が行っていて、その結果、感染の可能性があっ
た場合は、北海道が行っている2次検診を受けていただくことになります。1次検診
は、市町村で計画的におこなわれていますので、道内の方で1次検診を希望される
方は、お住まいの市町村のご相談ください。
千歳保健所管内のエキノコックス症1次検診担当窓口
千歳市 市民健康課 (0123-24-0364)
恵庭市保健センター 保健課 (0123-25-5700)
北広島市 健康推進課 (011-372-3311)
2次検診等相談窓口
千歳保健所 健康推進課 健康支援係 (0123-23-3175)
エキノコックス症の予防方法は、エキノコックスの卵が口に入らないようにすること
が第1です。そのために、次のことに注意しましょう。
~予防のために大切なこと~
○ 外から帰ったら必ず手を洗いましょう。
○ 生ゴミなどキツネのエサになるものはきちんと保管し処分しましょう。
○ 野山の果実や山菜などを口にする場合は、良く洗うか十分熱を加えてから食べましょう。
(エキノコックスの卵は-20度くらいの低温では死にませんが、熱には弱く、100度で1分間
の加熱で死 滅します。)
~予防のためにしてはいけないこと~
○ キツネのエサになる残飯や生ゴミを放置しないようにしましょう。(キツネを人家周辺に近
づけない ために。)
○ 可愛いからといってキツネにエサをあげたり、呼び寄せたり、手で触れることは絶対にや
めましょう。(キツネの体毛に卵がついていることがあります。)
○ 沢水や小川などの生水は、飲まないようにしましょう。
○ イヌが野ネズミをつかまえて食べないように、放し飼いは絶対にやめましょう。